自社サイトのチャットに、同じ質問が3回届きました。
本社の住所と、代表者の名前を教えてください。
チャットのAIは答えられず、担当者への引き継ぎになりました。調べてみると、住所は会社概要のページに書いてあったのに取り込めておらず、代表者の名前にいたっては、サイトのどこにも書いていなかったのです。
書いていないのだから、答えられない。当たり前のことですが、この当たり前に気づかせてくれたのは、検索データでもアクセス解析でもなく、答えられなかった質問の記録でした。
AIは、サイトに無いことを答えられない
サイトにチャットを置くと、「AIが賢く何でも答えてくれる」と期待されがちです。しかし、勝手な推測で答えるAIは、会社の窓口としては失格です。取引条件や料金を、AIの想像で答えられては困ります。
だから、まともな設計のチャットはサイトに書いてあることだけを根拠に答え、無いことは人に引き継ぎます。つまりチャットの回答力は、AIの賢さではなく、サイトに何が書いてあるかで決まります。
チャットの賢さは、AIではなくサイトの中身で決まる。
答えられなかった質問は、苦情ではなく地図
ここで見方を変えると、面白いことが起きます。「答えられなかった質問」の一覧は、そのままサイトに足りない情報のリストになっているのです。
訪問者は、知りたいことがあったからわざわざ聞いています。検索キーワードの推測とちがって、実際に来た人が、実際に知りたかったことの記録です。これほど確度の高い「次に書くべきことリスト」は、他にありません。
実際にあった「足りないことリスト」
- 本社の住所と代表者の名前(会社の実在確認。発注前の心理です)
- 「どんなサイトにも貼れる?」(自分のケースで使えるかの確認)
- 「子どもに使わせても大丈夫?」(利用者側の不安)
どれも、運営側が「書くまでもない」と思っていたことでした。
冒頭の質問に対しては、会社概要のページを取り込み直し、代表者の名前を1行追記しただけで、次から答えられるようになりました。かかった時間は30分です。

聞かれた質問は、次に書くべきことの、いちばん正直なリスト。
明日できること
1. 「聞かれたこと」を10件書き出す(20分)
チャットの記録、メール、電話のメモ、商談の最初の質問。どこからでも構いません。実際に聞かれた質問を10件、そのままの言葉で書き出します。要約しないのがコツです。
2. それぞれの答えがサイトのどこにあるか確認する(15分)
10件それぞれについて、答えが書いてあるページを探します。「書いてあるつもりだったが無い」「書いてあるが3クリック先」が、たいてい半分以上見つかります。
3. 無かった答えを、1つだけ書く(30分)
全部やろうとしないことです。いちばん多く聞かれた1件だけ、既存ページへの追記で構いません。1週間に1つ足せば、1年で50個の「答えられること」が増えます。
| 聞かれた質問のタイプ | 答えの置き場所 |
|---|---|
| 事実の確認(住所・営業時間・対応範囲) | 会社概要・サービスページに明記 |
| 自分のケースで使えるか(規模・業種・環境) | よくある質問に「使える条件・使えない条件」を正直に |
| 判断の相談(どれを選べば・いくらかかる) | 料金ページに考え方ごと書く。個別性が高ければ人が対応 |
やってはいけないこと
- 推測で答えを書く — 聞かれたからといって、決まっていないことを書かない。「準備中」と正直に書くほうが信頼されます
- 質問リストをそのままFAQに丸写しする — 同じ趣旨の質問をまとめ、答えから逆算して書き直すこと。量産FAQは読まれません
- 都合の悪い質問を無視する — 「解約できますか」に答えを書いていないサイトは、それだけで警戒されます
よくある質問
チャットが無いと、この方法は使えませんか?
チャットは記録が自動で残るので楽ですが、必須ではありません。メール・電話・商談で聞かれたことをメモする習慣があれば、同じリストは作れます。大事なのは「実際に聞かれた言葉」を残すことです。
聞かれたことに全部答えると、ページが長くなりませんか?
全部を1ページに書く必要はありません。質問のタイプごとに置き場所を分けます(上の表)。また、聞かれる頻度の高いものから書けば、上位1〜2割で大半の質問はカバーできます。
AIチャットの「答えられなかった質問」はどうやって見るのですか?
まともなチャットツールなら、AIが人に引き継いだ質問の一覧が管理画面に残ります。その一覧を週に1回見て、1つ答えを足す。この習慣だけで、チャットは少しずつ「答えられる窓口」に育ちます。
サイトに書けば、検索にも効きますか?
実際に聞かれた質問への答えは、同じ疑問を持つ人の検索にも合致しやすい内容です。即効性は約束できませんが、推測で書くキーワード記事より、需要の実在が確認できている分だけ確実です。