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探す前に、とりあえず聞く ── 情報を載せても読まれない理由

答えはサイトに書いてある。それでも同じことを聞かれます。探すコストのほうが、聞くコストより高いからです。そして、いちばん見込みのある人が、いちばん探してくれません。

答えはサイトに書いてある。それでも同じことを聞かれます。探すコストのほうが、聞くコストより高いからです。

そして厄介なことに、いちばん見込みのある人が、いちばん探してくれません。

3つ目の言葉です。

探す前に、とりあえず聞いてしまう。

サイトを作る側からすると、これは少し切ない話です。その答えは、たいていサイトのどこかに、ちゃんと書いてあるからです。

書いてある、と、届く、は別のこと

「よくある質問」を充実させる。料金ページを丁寧に作る。サービスの説明を細かく書く。導入事例を載せる。どれも正しい努力です。私たちもお客様に、そう提案してきました。

ところが、それでも同じことを聞かれます。書いてあるのに。

探すコストのほうが、聞くコストより高い。

「探す」は、思っているより重労働

答えを探すとき、人は無意識にこれだけのことをしています。

  1. どのページにありそうか見当をつける
  2. ページを開く
  3. 見出しを上から眺める
  4. それらしい項目を見つける
  5. 読む
  6. 自分のケースに当てはまるか判断する

いちばん厄介なのは6番目

「料金は月額◯円から」と書いてあっても、「うちの規模だといくらになるのか」は書いていない。結局、確かめないと分からない。5まで頑張って読んで、それでも解決しないことが普通にあります。

一方、聞くのは一瞬で済みます。しかも、自分のケースについて直接答えが返ってくる。だったら聞く、というのは、怠慢ではありません。合理的な判断です。

いちばん見込みのある人が、いちばん探さない

ここが重要なところです。

探さない人は、興味が無いわけではありません。むしろ逆で、急いで確かめたいほど興味があるから、最短距離を選んでいます。

じっくり全ページ読んでくれる人は、たしかにいます。でもその人は、まだ検討の入口にいることが多い。一方、「これ、うちでも使えます?」といきなり聞いてくる人は、もう使う前提で考えています。

丁寧に作ったページを読んでくれるのは、必ずしも一番大事な人ではない。

検索と回遊を前提にした設計の限界

サイトは長いあいだ、「訪問者が探してくれる」ことを前提に設計されてきました。ナビゲーションを整える。階層を作る。パンくずを置く。内部リンクを張る。

これは全部、探す人のための設計です。そして探す人には、今でもよく効きます。

問題は、探さない人のための設計が、ほとんど何も無いことです。多くのサイトで、探さない人に用意されているのは「問い合わせフォーム」だけ。そしてフォームは、ちらっと聞きたい人には重すぎる(これは別の記事で書きました)。

結果として、探さない人=見込みの高い人が、静かに帰っていきます

聞かれたら、答える

だとすれば、情報を整理し切ることと同じくらい、聞かれたときに答えられる状態を用意することに意味があります。

これは「ページを作らなくていい」という意味ではありません。答える材料は、結局そのページの中身です。書いてあるからこそ答えられる。ただ、書いて置いておくだけでは届かない、というだけです。

書くことと、届けること。これまでは前者だけをやってきた、という話です。

聞かれた質問は、サイトの通信簿になる

そして、ここからが本当に価値のあるところだと思っています。実際に聞かれた質問は、そのサイトに何が足りていないかの、いちばん正確な記録です。

聞かれ方が、そのまま診断になる

  • 何度も同じことを聞かれる → そのページの書き方が悪い、または見つけられていない
  • 想定していなかったことを聞かれる → そもそも書いていない
  • 誰も何も聞かない → 興味を持たれていない(これはこれで重要な情報)

アクセス解析は「どこを見たか」を教えてくれる。でも「何が分からなかったか」は、聞かれた質問だけが教えてくれる。

つまり、聞かれることは、対応コストではありません。サイトを良くするための材料です。ここを面倒だと捉えるか、資産だと捉えるかで、次にやることが変わってきます。

明日できること

1. 聞かれたことを、頻度順に並べる(30分)

この1〜3ヶ月で聞かれたことを、思い出せるだけ書き出してください。電話、メール、商談、現場での立ち話、どこからでも構いません。

そして同じ意味の質問をひとまとめにして、多い順に並べてください。言い回しが違っても、聞いていることが同じなら1つにまとめます。

ここで見ているのは、頻度=需要です。3回聞かれた質問は、聞かなかった人が何十人もいると考えてください。聞くのはコストが高い行為なので、実際に聞いた人は氷山の一角です。

2. 上位3つを、自分で探してみる(15分・必ず時間を計る)

自社サイトを開いて、その質問の答えを自分で探してください。ストップウォッチを使ってください。

  • 30秒以内に見つからない → 訪問者には見つかりません。あなたはどこに何があるか知っているのに、です
  • 見つかったが「自分のケースに当てはまるか分からない」 → 書いてあっても届いていません。一般論しか書いていないということです

この作業のポイントは、探すコストを自分の体で測ることにあります。作った側は「書いてある」ことを知っているので、探す辛さを想像できません。時間を計ると、それが数字で出ます。

3. 3つに分岐させる

状態 意味 やること
書いていない 純粋な不足 書く。これはページの仕事です
書いてあるが
見つからない
導線の問題 ページを増やしても解決しません。届け方を変える番です
書いてあるが
判断できない
一般論しか無い 個別に答えられる場所が要ります

ほとんどの場合、2番目か3番目です。そして、この2つはページを増やすことでは絶対に解決しません。ここを取り違えて記事を増やし続けるのが、いちばんよくある失敗です。

やってはいけないこと

  • 「よくある質問」に1問足して終わりにする — その質問が聞かれた理由は、FAQに載っていなかったからではなく、FAQを探さなかったからです。1問足しても、次の人もまた探しません
  • 説明を増やして解決しようとする — 読む量が増えると、探すコストはさらに上がります。逆効果になることがあります
  • 聞かれたことを「対応コスト」として数える — それはサイトの通信簿です。減らすものではなく、読むものです

情報が「ある」ことと「届く」ことは違う。その差を埋めるのは、たぶん、もう1ページ増やすことではありません。

よくある質問

よくある質問(FAQ)ページを充実させれば、問い合わせは減りますか?

減らないことが多いです。FAQは「探す人」のための形式で、探すコスト(どのページか見当をつけ、見出しを眺め、読み、自分のケースに当てはまるか判断する)が、聞くコストより高いためです。書いてあることと届くことは別です。

何度も同じことを聞かれるのは、サイトの説明が足りないからですか?

説明が無いとは限りません。書いてあるのに聞かれる場合、それは「見つけられていない」「自分のケースに当てはまるか判断できない」のどちらかです。ページを増やすより、届け方を変えるべきサインです。

探さずに聞いてくる人は、真剣に検討していないのでは?

逆のことが多いです。急いで確かめたいほど興味があるから最短距離を選んでいます。じっくり全ページ読む人はまだ検討の入口にいることが多く、いきなり聞いてくる人はすでに使う前提で考えている場合があります。

聞かれた質問は、記録しておく価値がありますか?

大いにあります。アクセス解析は「どこを見たか」は教えてくれますが「何が分からなかったか」は教えてくれません。聞かれた質問だけが、サイトに何が足りていないかを正確に示します。

Next action

記事の内容を、自分のサイトにも活かしたい方へ。

Chariootは問い合わせの入口を整え、会話ログをサイト改善の材料として残します。