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「チャットが無いと不親切」と言われる時代 ── 親切さの基準は、もう変わった

チャットは「あると便利な機能」ではなく「あって当たり前」になりました。当たり前になったものは、あっても加点されず、無いと減点される。反応がないサイトで起きているのは、たぶん減点です。

チャットは「あると便利な機能」ではなく、「あって当たり前」の側に移りました。

当たり前になったものは、あっても加点されず、無いと減点される。反応がないサイトで起きているのは、たぶん沈黙ではなく減点です。しかもこの減点は、絶対に測れません。

これも、実際に言われた言葉です。

チャットがあるのが当たり前で、チャットが無いと不親切だと感じる。

はじめて聞いたとき、正直なところ少し驚きました。チャットは「あると便利な機能」だと思っていたからです。でもこの方にとっては、そうではなかった。無いこと自体が、態度として受け取られていたのです。

これは機能の話ではなく、期待値の話

かつて、サイトの親切さは足し算で測られていました。電話番号が載っていれば親切。営業時間が書いてあれば親切。フォームがあれば十分。何かを用意するたびに、評価が上がっていく世界でした。

今は違います。チャットは「あって当たり前」の側に移りました。そして、当たり前になったものには、こういう性質があります。

  • あっても加点されない(当然だと思われているので、気づかれもしない)
  • 無いと減点される(「なぜ無いのか」と受け取られる)

やっても褒められず、やらないと罰される。

この非対称性が、いちばん怖いところです。費用対効果を計算しようとすると、効果がゼロに見えてしまう。実際には、減点を防いでいるのに。

同じことは、すでに一度起きている

この現象には前例があります。スマートフォン対応です。

かつてスマホ対応は「先進的な取り組み」でした。やれば褒められた。それがある時期を境に、当たり前になった。今、スマホで崩れて表示されるサイトを見たとき、私たちは「見づらいな」とは思いません。「この会社、大丈夫かな」と思います。

技術の問題が、いつのまにか信頼の問題にすり替わっている。チャットで起きているのは、これとまったく同じ構造です。

訪問者は「聞ける状態か」を無意識に見ている

反応がないサイトは、内容が悪いとは限りません。写真もきれいで、文章も丁寧で、それでも問い合わせが来ないことがあります。

そのとき起きているのは、たぶん減点です。聞ける場所がない、というだけで、なんとなく距離を感じさせている。

その「なんとなく」は、どこにも記録されない

  • アンケートには出てきません(そもそも回答してくれない)
  • アクセス解析にも出てきません(直帰としか記録されない)
  • 訪問者はわざわざ「チャットが無いので不親切だと感じました」とは伝えてくれません

黙って閉じるだけです。だからこの減点は、気づかれないまま積み重なります。

気づけないことが、この問題の本体です。

「反応がない」の中身は、たいてい沈黙ではない

問い合わせが来ないとき、多くの人は「見られていない」と考えます。だからアクセスを増やそうとする。広告を出す、記事を書く、SNSをやる。

でも、順番が違うことがあります。見られてはいるのに、聞けないから帰っている。この場合、アクセスを増やしても、帰る人が増えるだけです。穴の空いたバケツに水を足している状態になります。

ただし、置けばいい、という話ではない

ここは正直に書きます。チャットを置きさえすればいい、とは考えていません。

聞いたのに的外れな答えが返ってくる。何を聞いても「担当者にお繋ぎします」しか返ってこない。そういう体験は、何も無いより印象が悪いことがあります。期待させてから裏切るからです。

片方だけでは足りない

  1. 聞ける状態であること(入口がある)
  2. 聞いたら、ちゃんと答えが返ってくること(中身がある)

1だけを満たしたチャットは、減点を防ぐどころか、新しい減点を作ります。置くなら、何を答えられて何を答えられないかを先に決めておくべきです。答えられないことは、正直に人へ渡したほうがいい。

明日できること

1. 5秒テストをする(5分・協力者が1人いれば足ります)

サイトを知らない人に、トップページを5秒だけ見せて閉じ、こう聞いてください。

「ここで何か質問したくなったら、どうする?」

相手の答え 意味
「右下のチャットで聞く」 合格。認識されています
「フォームを探す」 探させている時点で、もう遅い
「電話するかな…」 その人は、たぶん電話しません。聞くのをやめます
「わからない」 聞ける場所が存在しないと思われています

答えが返ってくるまでの秒数が、そのまま親切さの体感です。自分でやると「どこに何があるか知っている」ので意味がありません。必ず他人にやってもらってください。

2. 同業他社を3社見る(15分)

見るのは3点だけです。

  • チャットがあるか
  • あるなら、どこにあるか — 右下固定が定番です。理由は、読みながら視界の隅に入り続けるから。ページ下部にしか無いものは、最後まで読んだ人にしか届きません
  • 最初に何と言ってくるか — ここがいちばん差が出ます。「ご用件をどうぞ」は冷たい。何を聞いていいか分からない人に、自由記述を求めているからです。よくできているものは、聞かれそうなことを先に3つくらい提示しています

当たり前の基準は、業界の中で決まります。3社中2社にあるなら、無いほうが減点される段階に入っています。0社なら、まだ先行できる段階です。

3. 置くと決めたら、置く前に決めること

紙でいいので、先に3つ決める

  • 答えられること(料金の考え方、対応範囲、進め方——サイトに書いてあることは全部答えられるはずです)
  • 答えられないこと(個別見積もり、法的な判断、在庫や納期の確約)
  • 答えられないときにどうするか(無理に答えず、正直に人へ渡す。ここで連絡先をもらえば、それが問い合わせになります)

この3つが決まっていないチャットは、置かないほうがマシです。

やってはいけないこと

  • AIに全部答えさせる — 答えられないことまで答えようとして、平気で間違えます。1回の誤答で信用は消えます
  • 有人チャットで24時間対応しようとする — 続きません。続かない親切は、途中でやめたときに一番印象が悪い
  • 「担当者にお繋ぎします」しか返さない — それはフォームと同じ重さです。軽い入口を作ったことになりません

よくある質問

チャットは本当に必要ですか? フォームがあれば十分では?

フォームは「もう決めた人」のための入口としてはよくできていますが、まだ決めていない人が小さな疑問を確かめる手段にはなりません。訪問者の期待値は「チャットがあって当たり前」に移っており、無いこと自体が減点として働くことがあります。

チャットを置くと、なぜ効果が見えにくいのですか?

当たり前になった機能には非対称性があるためです。あっても加点されず(気づかれもしない)、無いと減点される。効果はゼロに見えますが、実際には減点を防いでいます。

問い合わせが来ないので、アクセスを増やすべきですか?

見られていないのか、見られているのに聞けずに帰っているのかを先に確かめるべきです。後者の場合、アクセスを増やしても帰る人が増えるだけになります。

とりあえずチャットボットを置けばいいですか?

おすすめしません。的外れな回答しか返らないチャットは、何も無いより印象を悪くすることがあります。何を答えられて何を答えられないかを先に決め、答えられないことは正直に人へ引き継ぐ設計が必要です。

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記事の内容を、自分のサイトにも活かしたい方へ。

Chariootは問い合わせの入口を整え、会話ログをサイト改善の材料として残します。