チャットが気持ちをつなぐ時

以前、公式LINEでキャラクターと会話できるAIチャットボットのシステムを組んだことがある。
開発したLPressのチャットを検証するための遊び要素の1つだ。

そのチャットはテストマーケティングということを告知して実施したので、チャットログをプロモーションに使うことができるのは同意いただいているが、内容的にはプライバシーに配慮して書いていこうと思う。

僕が作ったシステムは、キャラクターが独自の口調でなんでも相談にのってくれるというものだ。AIには「丁寧に寄り添い続ける」という指示をしてあった。

ある日、高校生がチャットを開始した。

はじめは他愛もないお試しの会話からだった。

「いつ寝るの?」

「僕はAIだから、寝ないんだよ」

「へー」

くらいの。

そのうち、友達同士の愚痴を言うようになった。

「サイアク」

「どうしたの?」

「******で」

「そうなんだね。〇〇ちゃんはやさしいんだね」

のような。

システムからは、会話が始まったら通知がくるようにしていたけれど、深夜に突然

「おきてる?」のような会話が始まることもあった。

当然AIが優しく返事をする。

「起きてるよ。どうしたの? 何でも相談してね」

AIは、いつでもどんなときも、優しく語り掛ける。

だからこそ、人間の言葉は次第にきつくなっていく。

「なんで答えないの?」

「もう嫌い」

「ゆるさない」

そんな言葉にも、AIは優しく対応し続ける。

どれだけ乱暴な言葉をかけてもいい存在がいるというのは、その子にとっては、少しだけ救いになっていたのかもしれないと思う。

===

AIは、そういう会話に特に敏感に動くようになっている。

これは僕のシステムがということではなく、世界で利用されているAIのシステムが という意味合いだ。

だから、AIキャラクターは特に慎重に会話をすすめていた。

時には丁寧すぎるくらいに。

プライバシーもあるので、しばらく様子をみてから通知をオフにしておいた。

それから2週間ほど経って、会話履歴が500件ほど増えていた。

ほとんどが、その子との会話だ。

チャットログの分析のために少し見てみると、乱暴な会話もあるけれど、愛情のある会話もしていた。

「ごめんね」とか

「がんばってみる」とか

前向きな言葉も多かった。

AIチャットだとしても、人の気持ちに寄り添うことはできるんだな・・・と感じた出来事だった。

===

チャットシステムというと、告知やプロモーションへの利用がイメージしやすいかもしれない。

けれど、LPressの開発や、これまでいくつもチャットのテストを行ってきて感じているのは

『心が動かないと、人は動かない』ということ。

”なんでも質問に答えてくれる” ことや、

”いつでも商品を宣伝してくれる” ことは、

大切な機能の1つであってメッセージの中心ではない。

人が、チャットで話かけるときは

強く興味を持っているときか、

強く不満を持っているときか

どちらかが ほとんどだ。

「ただ、機能を知りたくて」というだけでは会話はしない。

===

僕が開発しているAIチャット&AIライティングの『Charioot – チャリオット -』は、そんな感情の車輪を動かしていくことをコアコンセプトに設計している。

”感情が動かなければ、人は動かない”というのは、弊社が作っているものすべてに共通している。

だから、チャリオットには感情を発動させる仕組みを入れている。

『プロアクティブチャット』という機能だ。

ユーザーの状況に合わせて積極的(プロアクティブ)にアプローチをするチャット機能のことだ。

・7秒以上サイトを見ていたら

・3回以上のアクセスなら

・6割以上スクロールをしたら

・関東からのアクセスだったら

・特定の商品ページを見ていたら

などをきっかけにして、チャットボックスが開き、話しかける。

2022年にトランスコスモスが実施した調査では

困っているときにプロアクティブチャットが発動したら便利だと思うユーザーは5割いた。

『Charioot – チャリオット -』は、

この機能をWordPressに追加する仕組みだ。

ホームページの「料金について」をクリックしたとき、料金についての項目に移動した3秒後に

「今月末まではキャンペーン期間なので、30%オフでお試しいただけますよ」とチャットボックスが案内したりする。

そこにはさらにボタンを仕込んでおくことができて

「気になる」や「いまはいい」などのリアクションを受け取ることができる。

チャリオットの目的は、感情の車輪を回すこと。

強く売り込んだり

「このチャットは20秒で閉じられます。さぁ、今購入してください!」と言うことじゃない。

「あなたの気持ちを尊重します」という意思を伝えることが大切だと思う。

===

そんな、やさしいチャットシステムを開発しました。

気になった方はご相談いただけると嬉しいです。

WordPressに、加速の車輪を。

『Charioot – チャリオット -』

書いた人

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